札幌高等裁判所 昭和29年(う)1号 判決
職権を以て原判決の擬律の部を調査するに、原判決は、詐欺及び窃盗の罪の刑に累犯の加重をなしたる上、併合罪加重をなすに当り刑法第十四条を適用した刑跡が認められない。従つて原判決は敍上の各罪の刑に累犯の加重をした結果、各罪の刑の長期は二十年となり、更に刑法第四十七条第十条に従い犯情の最も重い昭和二十八年十月二十一日附起訴状下の公訴事実第一の罪の刑に法定の加重をしたので、結局懲役三十年以下の刑期範囲内で処断したことゝなり、この法律適用の誤は明らかに判決に影響を及ぼすものといわねばならない。(中略)
法律に照すに、被告人の所為中、昭和二十八年十月二十七日附及び同年同月二十一日附各起訴状記載の公訴事実中各住居侵入の点は刑法第百三十条罰金等臨時措置法第二条第三条に、各窃盗の点は、刑法第二百三十五条に、右昭和二十八年十月二十一日附起訴状記載の公訴事実中詐欺の点は同法第二百四十六条第二項第一項に該当するところ、住居侵入と窃盗とはその間手段結果の関係があるので同法第五十四条第一項後段第十条により重き窃盗の罪の刑を以て処断すべきものとし、前示前科があるので同法第五十六条第五十七条に則り累犯の加重をなし、しかして以上は同法第四十五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条本文第十条により犯情の最も重いと認める詐欺の罪の刑に同法第十四条の制限に従い法定の加重をなし、その刑期範囲内で被告人を懲役五年に処し同法第二十一条に則り原審における未決勾留日数中三十日を原判決の本刑に算入し、原審及び当審における訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項に従い全部被告人に負担させることゝし、主文のとおり判決する。